海南島(海南省)の万人坑
陵 水 后 石 村 万 人 坑

 陵水后石村万人坑
海南省陵水黎族自治県

 1944年から1945年にかけて海南島南部の陵水地区に軍用空港や道路が建設される。これらの土木建設工事は、日本軍から工事を請け負った「株式会社」(当時の地元の人たちは「株式会社」が企業名だと思っていた)により実施された。作業に必要な労工は主に中国本土から連行されてきたが、一年半におよぶ過酷な強制労働で5000人以上が死亡する。そして、犠牲者の遺体は、空港の近くに溝(穴)を掘って埋められた。こうして多数が犠牲になる凄惨な土建工事が強行されたが、空港が完成する前に日本は敗戦を迎える。
 この時に造られた長さ1000メートルの土の滑走路は今はもう残っていない。その滑走路跡から800メートルほど離れたところに1970年に中国海軍により記念碑が設置され、犠牲者を追悼するとともに、陵水の惨劇を伝える教育基地とされた。

写真:2014年11月15日撮影 


 海南島地図(位置)
 海南島は、中国本土(大陸)の南方に浮かぶ巨大な島。面積は3.4万平方キロで、台湾(3.6万平方キロ)よりほんの少しだけ狭い。ベトナムのハノイより南に位置し、南側は熱帯気候に属するこの島に37民族・870万人が暮らす。そのうち720万人が漢族で、残りの150万人が黎族・ミャオ族・回族などの少数民族。一年中緑に覆われる温暖なこの島に11月から3月にかけて大陸からたくさんの人がやって来て暖かい冬を過ごす。

 海南島地図
 后石村は海南島南部の陵水黎族自治県にある。陵水黎族自治県の人口は37万人で、そのうち53パーセントが黎族。

 陵水后石村の記念碑
 飛行場建設などの強制労働で死亡した5000人余の中国人同朋を追悼する記念碑。「受難同朋永垂不朽」と刻まれている。中国海軍第4442部隊が1970年12月20日にこの記念碑を設置した。

 陵水后石村の記念碑
 軍用空港から800メートルほど離れたこの辺りに溝(穴)を掘り、空港や道路建設の強制労働で死亡した犠牲者が埋められた。この辺りは現在は畑になっている。

 犠牲者追悼式
 陵水の軍用空港などの建設工事で強制労働させられ死亡した5000人以上の犠牲者を追悼する。記念碑の前に花を供え、犠牲者を悼み不戦・平和を誓う言葉を中国語で読み上げる。

 犠牲者追悼式
 5000名余の命と引き替えに造られた1000メートルの土の滑走路は今はもう残っていない。

 陵水后石村万人坑記念碑にて
 陵水黎族自治県史誌弁公室の劉忠さん(右)と李秉剛さん。記念碑の周りは今は畑になっていて、農業用のビニールハウスがたくさん設置されている。(この時は骨格だけで、ビニールはかけられていない。)

 陵水黎族自治県政府庁舎
 日本侵略当時は日本海軍の施設として使用された。周辺に、日本海軍の施設や宿舎などがたくさんあったが、多くの施設が都市開発で壊された。

 日本侵略時代の給水塔
 陵水政府庁舎の周辺には日本侵略時代の施設が残っている。これは給水塔。近隣に武器庫も残っている。

 『陵水県誌』を贈呈される
 陵水黎族自治県地方誌編纂委員会が発行した『陵水県誌』を贈呈される。左から、李秉剛さん、劉忠さん、野津加代子さん、龍敏雄さん。劉さんと龍さんが陵水黎族自治県史誌弁公室の委員。




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