銭 家 草 惨 案

 銭家草惨案
上海市松江区

 上海に駐屯していた日本軍部隊は1938年3月3日に約100名の兵を派遣し、上海市近郊の銭家草村を掃討する。この掃討(銭家草惨案)で64名が殺害されたが、犠牲者はいずれも普通の農民で、日本軍が想定していた抗日組織の関係者や兵士は村にはいなかった。解放後に虐殺現場に記念碑が設置され、約260名の村人に銭家草惨案は今も語り継がれている。
 この銭家草惨案で注目すべきことは、当日の日本軍部隊の出発風景から銭家草集落の家屋に放火する様子、村人に対する尋問、処刑後に埋められる穴を村人自身に掘らせる様子、その後に銃剣で村人を突き刺す瞬間などの写真が大量に残されていることだ。当の日本軍部隊の写真係が撮影した部隊の「公式記録」とも言える大量の写真は、日本軍の掃討作戦の実態を明らかにする第一級の史料といえる。
 
写真:2013年9月30日撮影 

 銭家草の水田
 銭家草の集落の周囲に広大な水田が広がる。日本の水田地帯と同じようなのどかな風景だ。

 銭家草の集落
 集落の中を水路が通り、碁盤目状に住居が整然と建ち並ぶ。

 銭家草惨案の生き証人(1)
 左側が王書珍さん(水色の上着)、現在(2013年)90歳。銭家草惨案時は15歳で、父と甥と姪を殺害された。右側は李阿去さん、現在(2013年)84歳。銭家草惨案時は8歳で、父を殺害された。

 銭家草惨案の生き証人(2)
 王書珍さん(右から二人目)と李阿去さん(右端)が銭家草惨案を証言する。前列左端は李志平さん。惨案時は生後2カ月の赤ん坊で、父を含む家族が惨案で殺害された。李志平さんの後ろは、上海語を中国語(標準語)に訳す通訳。前列左から二人目は、中国語(標準語)を日本語に訳す通訳。

 銭家草惨案記念碑に向かう
 集落から少し離れたところにある銭家草惨案記念碑に李志平さんの案内で向かう。この道の先の右手に見える雑木林の中に記念碑がある。

 銭家草惨案記念碑が移設された雑木林
 銭家草惨案記念碑が最初に設置された虐殺現場を高速道路が通ることになり、そこから少し離れたこの雑木林の中に記念碑は移設された。記念碑まであと少し。

 銭家草惨案記念碑(1)
 幅1メートル・高さ70センチくらいの記念碑。裏面には、銭家草惨案の様子が小さい文字でびっしりと刻まれている。

 銭家草惨案記念碑(2)
 侵略の過ちを二度と犯さないことを誓う決意を記した色紙を花と共に銭家草惨案記念碑に供え、犠牲者追悼式を行なう。




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