大同炭鉱万人坑(2) 山西省大同市. 日本による大同炭鉱支配 山西省北部にある大同炭鉱は、高品質の石炭を膨大に埋蔵している有名な炭田であり、古くから中国人の手により多くの炭鉱が営まれてきた。 「強兵富国」を実現するため大量の石炭を必要としている日本は早くから大同炭鉱に目を付けていたが、盧溝橋事件を口実として1937年7月に中国に対する全面侵略を始めると、それからわずか2カ月後の9月には早くも大同を占領し大同炭鉱を支配する。それから敗戦までの8年間で石炭1400万トンを略奪し、石炭採掘の過酷な強制労働で6万人余の中国人労工を死亡させた。そして、大同炭鉱周辺には、犠牲者の遺体を捨てた(埋めた)人捨て場(万人坑)が数多く残された。 遺体がミイラ化した煤峪口万人坑 解放後の1966年12月から翌年5月にかけ、多くの政府機関と専門家により大同炭鉱万人坑の発掘調査が実施され、規模が大きい万人坑だけでも20カ所以上が確認される。そして、万人坑から収容された遺骨(遺体)が法医学者らにより調査・鑑定され、身に付けている持物などから7名の名前が確認された。そのうち、袁庭軒さんと龔瑞海さんは家族(遺族)を探し当てることができた。 さて、一連の調査で確認された数多くの万人坑のうち、廃鉱となった鉱脈に至る坑道に遺体が捨てられ形成された煤峪口万人坑では、高地の沙漠地帯に特有の寒冷乾燥という条件下で遺体の多くがミイラ化していた。その稀有な存在である煤峪口万人坑は21世紀の現在も完全な状態で保護されていて、その人がまるで生きているように今も無念の表情を浮かべる遺体が、上洞・下洞と呼ばれる2本の坑道を埋め尽くしている。 現地訪問:2018年6月20日 . |
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煤峪口万人坑/上洞 | |||||||||||||||||||||||
煤峪口万人坑:正面の山の中腹にある施設(建屋?)の屋上が広場になっていて、その広場の正面(山側)に上洞の入口がある。また、階段を上ったところにある施設正面の入口の奥に大きな部屋があり、その部屋の中に下洞の入口がある。 |
左の写真で山の中腹に見える施設(建屋?)の屋上にある広場。その正面の壁の右端に設置されている入口を入ったところに上洞の入口がある。広場は改装工事中なので、ブロックや床材が散乱している。 | ||||||||||||||||||||||
煤峪口万人坑/上洞:標高1175mの位置に上洞(坑道)の入口がある。上洞の幅は5〜6m、奥行は40m余あるが、入口がガラスで仕切られ洞窟内は保護されている。入口の手前からでは、洞窟の奥の方は確認できない。 | 20世紀初頭に開削された坑道が廃坑になったあと、そこに犠牲者の遺体が無造作に、かつ大量に捨てられた。 | ||||||||||||||||||||||
煤峪口の廃坑に捨てられた遺体の多くが、高地の沙漠地帯に特有の寒冷乾燥という条件下でミイラ化した。 | 中国全土に万人坑は数えきれないほど現存しているが、遺体がミイラ化しているのは大同炭鉱煤峪口万人坑だけだ。 | ||||||||||||||||||||||
まるで生きているかのように顔に表情が残り・・・ | 死亡後どれほども時が経っていないように見える。 煤峪口万人坑/下洞 煤峪口万人坑がある山の中腹に造られた施設(建屋?)の正面入口から、記念館(史料館)に隣接している記念広場を見下ろす。その記念広場から続く長い階段を見学者が上ってくる。 煤峪口万人坑がある山の中腹に造られた施設(建屋?)の中にある大きな部屋の中。正面のガラス窓の奥(向こう側)に下洞の入口がある。 煤峪口万人坑/下洞:標高1155mの位置に下洞(坑道)の入口がある。下洞の幅は3〜4m、奥行は70m余あるが、入口がガラスで仕切られ洞窟内は保護されている。入口の手前からでは、洞窟の奥の方は確認できない。 非業の死を強いられた犠牲者の遺体(遺骨)が、廃坑となった坑道を埋め尽くしている。 手の指から足の先まで完全な遺体が、21世紀の今も「生き続けている」。 ボロボロの服を70年余もそのまま身にまといながら・・・ 惨劇を繰り返してはならないと訴えている。 遠い過去の記録ではない。日本の敗戦から73年後の今現在の姿だ! 大同炭鉱万人坑遺跡記念館 (最初の記念館外観写真を除くこれ以降の写真は、記念館内に展示されている記録写真を撮影したものである。) 大同炭鉱万人坑遺跡記念館(史料館)の正面入口。14万トンの石炭が略奪され、強制労働で6万人が殺害された史実が正面の巨大なレリーフに刻まれている。 1966年12月から翌年5月にかけ、大規模な発掘調査が実施された。 幸存者の証言などから、大規模な万人坑だけでも20カ所以上が確認される。 大同炭鉱とその周辺を埋め尽くすおびただしい数の遺骨が収集される。 現場で発見されたミイラ化している遺体が法医学者らにより調査・鑑定される。 侵略犯罪の史実を直視しない日本人に明るい未来はない。歴史を改竄する日本には、世界の人々から蔑まれ疎まれる暗黒の未来しかない。 ケ連枝さん(左)は、大同炭鉱に連行される前は火手(ボイラー係)をしていた。李文彬さん(右)は、裕豊坑大陸公司(会社)の社員だった。 何金才さんは、身に付けていた身分証により身元が判明した。
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