石人血泪山万人坑 吉林省白山市石人鎮.
白山市石人鎮の中心街から少し離れたところに、なだらかで緑豊かな山に四方を囲まれる小じんまりした集落がある。その集落から西方に延びる緩やかな勾配の山道の先に、集落との標高差が100メートルもない小さな山がある。この山は元は浴淋塔山と呼ばれていたが、日本の侵略時代に石人炭鉱の強制労働で死亡した(殺された)一万人余の中国人労工の遺体が、浴淋塔山山頂の北西側にある谷とその周辺に捨てられ万人坑(人捨て場)とされたので、血泪山と呼ばれるようになった。
写真撮影(2010年9月23日)と解説 青木 茂 . |
後ろ手に縛られる3人の中国人売国奴 石人鎮にある小さな集落から西方に延びる緩やかな勾配の山道を100メートルほど進むと、高さ1メートル・幅2メートルほどの2基の石碑があり、その傍らに、後ろ手に縛られうなだれる3人の中国人売国奴の等身大の像が置かれている。日本の侵略時代に日本人の手先になって甘い汁を吸い、一般中国人を支配し搾取した実在の中国人の像で、それぞれ実名が刻まれている。中国の一般民衆は彼らをひどく軽蔑していて、彼らの犯した罪を今でも許せないのだ。 一方、中国人売国奴より罪の重い加害者であり侵略者でもある日本人は、敗戦となるとさっさと日本に帰ってしまい、自らの罪や責任に対し今も口を閉ざしたままだ。 この中国人売国奴の像の先に、血泪山(浴淋塔山)の山頂と山頂に建つ記念碑が見える。 |
血泪山(浴淋塔山)山頂と記念碑 3人の中国人売国奴の像の先は階段になり、血泪山の山頂まで緩やかな階段がまっすぐに続く。山頂には、高さ10メートル以上はありそうな大きな記念碑が建立され、その正面に「日偽統治時期/死難鉱工記念碑/一九六四年五月十日建立」と刻まれている。 血泪山山頂の大きな記念碑の手前には、高さ3メートルくらいの小さい記念碑が三つ置かれている。いずれも、犠牲者を追悼するため1960年代前半に建立されたものだ。 | 石人炭鉱強制労働犠牲者の追悼式 石人血泪山山頂にある死難鉱工記念碑の前で、日本の侵略時代に石人炭鉱の強制労働で死亡した(殺された)一万人余の中国人労工の追悼式を、石人血泪山を訪問した日本人一行が行なう。白や黄色の花と「反省歴史面向未来」と記した色紙を記念碑台座の正面に供え、犠牲者を追悼し日中友好・反戦平和の決意を示す追悼文を中国語で読み上げる。(2010年9月23日) |
石人血泪山万人坑 血泪山山頂から、北西側の急峻な崖の下にある谷を見下ろす。樹林と深い草に覆われる崖下の谷の先には、緑豊かな山並みがどこまでも続く。 血泪山山頂の北西側にあるこの谷とその周辺に、石人炭鉱の強制労働で死亡した(殺された)一万人余の中国人労工が捨てられ、石人血泪山万人坑を形成している。人捨て場たる万人坑の範囲は50万平方メートルほどになる。 写真中央に、遺体が捨てられた惨劇の現場であることを示す白い墓標が見えるのを確認できるだろうか。 |
石人血泪山万人坑の墓標 1960年代前半には、中国人労工の遺体で埋め尽くされた長さ200メートル・深さ3メートルほどの填人溝と呼ばれる溝(人捨て場)や、雨で流された遺骨に覆われ白骨坂と呼ばれた山肌など、石人血泪山万人坑の惨劇の現場を確認することができた。 1990年頃に李秉剛教授(今回同行の歴史研究者)がここに訪ねて来たときも、労工の遺体が捨てられた血泪山北西側のこの谷で、白い石の墓標と共に労工の遺骨を確認することができた。 しかし、その谷に今は木々と草が生い茂り、白い墓標だけは何とか確認できるものの、急峻な崖を下り遺骨を確認することは容易ではない。 |
血泪山から見る石人鎮の集落 血泪山に至る山道の途中から、3人の中国人売国奴の像と、その先にある集落を見下ろす。緑豊かな山々に囲まれる中にある小じんまりした集落だ。血泪山への登り口があるこの集落は石人鎮の中心街から少し離れているが、ちょっとした商店が並ぶ街道沿いに人出は多くけっこう賑やかで、赤茶色の屋根が連らなる街並みはのどかで落ち着いた感じがする。 | 荒れ果てた資料館 血泪山のふもとの集落では、血泪山登り口に近いところにあるこの廃墟など、屋根が抜け落ち壁も穴だらけの朽ち果てた結構大きな建物が目につく。 1963年に通化鉱務局により階級教育展覧館が建てられるなど、万人坑に関わる10ヶ所ほどの施設が1960年代前半に血泪山周辺に整備され、石人炭鉱で強制労働を強いられた中国人労工の悲痛な歴史を展示していた。しかし、文革(プロレタリア文化大革命、1966年から)の10年でいろんなことがボロボロにされ、展覧館などの施設もそのまま荒れ果ててしまったようだ。 いろいろな事情はあるだろうが、一万人余が殺された石人炭鉱の惨劇を風化させてはならない。 |
石人炭鉱第五坑口(昔の写真) 【李秉剛教授(北京)提供写真】.
| 【李秉剛教授(北京)提供写真】.
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【李秉剛教授(北京)提供写真】.
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