海南島(海南省)の万人坑
田 独 鉱 山 万 人 坑

 田独鉱山万人坑
海南省三亜市田独鎮

 海南島南部にある田独鉱山を日本は1939年に占領する。そして、海南島をはじめとする中国各地や香港・台湾・朝鮮・インドなどから住民や捕虜を連行し、1939年から1945年まで6年間にわたり、田独鉱山の採鉱作業や搬送用鉄道の建設工事で労工として強制労働させた。
 劣悪な生活環境の下で過酷な労役を強制された人たちの多くは、解放される前に死亡する。田独鉱山に関わる強制連行・強制労働の詳しい実態は不明だが、犠牲者は一万人近くになると推定されている。
 犠牲者の遺体は鉱山に近い山中に捨てられ田独鉱山万人坑が形成された。しかし、発掘など詳しい調査がされないまま、1958年に建設されたダムにより生じたダム湖の底に万人坑は沈められてしまった。そのダム湖のすぐ脇に新旧二つの記念碑が建立され、田独鉱山の惨劇を伝えるとともに犠牲者を追悼している。

写真:2014年11月14日撮影 


 海南島地図(位置)
 海南島は、中国本土(大陸)の南方に浮かぶ巨大な島。面積は3.4万平方キロで、台湾(3.6万平方キロ)よりほんの少しだけ狭い。ベトナムのハノイより南に位置し、南側は熱帯気候に属するこの島に37民族・870万人が暮らす。そのうち720万人が漢族で、残りの150万人が黎族・ミャオ族・回族などの少数民族。一年中緑に覆われる温暖なこの島に11月から3月にかけて大陸からたくさんの人がやって来て暖かい冬を過ごす。

 海南島地図
 田独鉱山は、海南島南部の中心都市・三亜の近くにある。

 田独鉱山露天掘鉱跡
 幅80メートル・深さ100メートルの露天掘鉱の跡。現在は水没し、湖になっている。その湖面に、発泡スチロールやプラスチック類など大量のゴミが浮いている。

 田独鉱山露天掘鉱跡
 露天掘鉱跡にできた湖のかなりの部分が、このように大量のゴミで埋め尽くされている。

 田独鉱山露天掘鉱跡
 露天掘鉱のすぐ近くまで田独の街並が拡がり、高層アパートが次々に建設されている。中国のいたるところで見ることができる景色だ。

 ダム湖
 1958年に造られたダムにより生まれたダム湖。田独鉱山の強制労働で死亡した犠牲者が埋められた万人坑は、詳しい調査もされないままダム湖の底に沈んだ。

 ダム湖
 このダム湖の底に万人坑が沈んでいる。田独鉱山露天掘鉱跡はダム湖のすぐ隣にある。

 ダムとダム湖
 画面の奥にダムの堰堤が見える。

 田独鉱山万人坑記念公園とダム湖
 画面中央がダム湖の堤防。右側端にダムの堰堤が見える。左側の樹林のところに田独鉱山万人坑記念公園がある。

 田独鉱山万人坑記念公園
 画面手前左側に古い記念碑。奥に新しい白い記念碑。背後の高層アパートのすぐ裏に田独鉱山露天掘鉱跡がある。

 田独鉱山万人坑記念公園
 1958年に建立された古い方の記念碑。「日冠時期受迫害死亡○○記念碑」と刻まれた文字は赤色に塗られている。

 田独鉱山万人坑記念公園
 2001年に建立された新しい記念碑。「田独万人坑死難鉱工記念碑」と正面に刻まれている。裏側には、「朝鮮・インド・台湾・香港および海南省各市県から連行されてきた労働者がここで虐待され死亡した」と記されている。

 犠牲者追悼式
 新しい記念碑に花を供え、田独鉱山の強制労働で死亡した人たちの追悼式を行なう。

 中国の人たち
 右:田独村共産党委員会の呂鵬さん。田独鉱山などを案内してくれる。
 中:覃啓傑さん。通訳兼ガイド。
 左手前:李秉剛さん。中国近現代史研究の専門家。
 左手奥:陳標さん。バスの運転手。いつも私たちといっしょに歩き回り、史跡を確認し、それぞれの地の専門家らの説明を興味深そうに聞いている。こんなに熱心な運転手は初めて。




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